一軒家は雨音が心地良い
私は結婚するまで、ずっとアパート暮らしを三十数年してきました。つまり、生まれてからずっと、一軒家には住んだことが無かったわけです。
憧れはありましたが、アパートの方が部屋が少ない分掃除も楽だし、風が吹いても、雨が降っても、なんとなく守られている気がして好きでした。
一軒家だとガタガタするイメージがあったのです。
しかし、結婚して競売で物件を探そうとなった時、夫が一軒家がいいと言うので、特に何のこだわりの無い私はそうしようと決めたのです。
いざ住んでみると、そんなに広い家でもないし、夫も私もそんなに神経質でもないので、掃除に苦労する、と言うことは無いのだな、と気付きました。
車や電車が通って、家全体が揺れることはあっても、雨風はしのげます。何より近所付き合いが思った程面倒臭くないことが素晴らしい、と思いました。
アパートとかだと、必ず出掛けたら誰かに会いそうですから。挨拶くらいなら良いけれど、急いでる時に話に捕まったりしたら、そんな厄介なことはありません。
さて、こうしてなかなかの住み心地だ、と思いながら住み始めた我が家。
今年で2年目になるのですが、去年は赤ちゃんが生まれて、毎日春夏秋冬がバタバタでした。ところが1歳になり、親としての余裕が出来始めたのか、ふと気づいたことがあるのです。
今まで全く気にもならなかったのですが、一軒家の雨の日はなかなかに良いものだと言うことです。雨の日、赤ちゃんが昼寝に突入し、さて本でも読もうか、とゆっくり紅茶を入れて、誰も見てないし、と床に寝っ転がって暫くして、あら、雨の音が心地良いじゃないの、と思ったのです。
窓の屋根に落ちるポタポタと言う音、前の道路を走る車の、シャーっと言う水しぶきの音。時々落ちてくる水の塊のポツンと言う音。
何て気持ちが良いのでしょう。
恐らく一生アパート暮らしをしていたら、間違いなくこんな音に気付くことはなかっただろうし、耳を傾けることさえなかったかも知れません。
こんな日は、赤ちゃんもいつも以上にグッスリです。静かすぎてもダメだし、うるさくてもダメ。
雨の音が丁度いいバックグラウンドミュージックになっています。いつもは音楽をかけるけど、雨の日は雨音に耳を澄まして過ごすのが一番です。